Keep paddling project第27章

O2Y&AsiaTour2025

Profile

荒木珠里(あらきしゅり)teamKANAKA所属
2006年5月7日沖縄生まれ、19歳

 

幼少の頃から沖縄の大自然に囲まれて育つ。漁師の祖父の影響で物心がつく前から海に飛び込み、アスリートの父の影響でSUPを始めた時期は記憶に無いほど、”海”は彼にとって欠かせないフィールド。将来はオリンピックで金メダルという夢を描きながら父の背中を追いかける。趣味は読書。得意な科目は図工と体育。小中一貫校、緑風学園時代には持久走大会では1年生から最終学年まで9連覇、小中最大の目標を達成し読書数は2000冊を越えた。高校進学しプロの道を歩き始め、18歳で世界統一王者となった。将来SUPのオリンピック化への夢を追いかける。

Shuri grew up surrounded by the great nature of Okinawa. He jumped into the ocean before he could remember because of his fisherman grandfather, and the time when he started SUP under the influence of his athlete father is an indispensable field for him. He paints his dream of a gold medal at the Olympics. His hobby is reading. His favorite subjects are arts and crafts and physical education. During his time at Ryokufu Gakuen, an integrated elementary and junior high school, he won nine straight victories in endurance races from the first year to the final year, achieving the biggest goal in elementary and middle school, and the number of books he had read exceeded 2,000. He started high school and professional career, and finally became "Unified world champion of 4 major SUP organizations".


  

荒木珠里メルマガvol.80(2025年7月30日)「O2Y、サマーASIAツアー終了」から引用


みなさん、こんにちは。荒木珠里です。いよいよ夏本番に入り、暑い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。僕たちは先週末の12、13日に静岡県下田市でのISA世界選手権の日本代表選考会レースを終え、O2Yから始まった怒涛の3週間が無事に終了しました。

春のユーロツアーでの5週間という長い旅から沖縄へ帰ってきて、そのまますぐO2Y本番でした。今年は去年以上に国内外からたくさんの選手が集まってくれました。6月28日土曜日には、沖縄本島北部やんばるの外洋でダウンウインドレースが行われました。ロングコースは15㎞×2セット=約30㎞、ショートコースは15㎞、妹の夏南風も12歳最年少でショートへ参加しました。レース当日は台風の影響で陸沿いに吹く風ではなく沖から吹く風でしたので、選手全員が伴走船の漁船にボードを積んで乗り込み沖へ約15㎞上が離、船からボードと一緒に飛び降りて洋上で一斉スタートしました。沖縄特有の灼熱の炎天下、あまりの暑さに耐えきれず熱中症になって途中棄権してしまう選手もいるなか必死に漕ぎ続けました。 僕たちプロのレースは2セットあったので、1セット目から自分の体力と向き合いながらレース運びをしなければならないうえに、最終的な順位は2セット分の合計タイムで決まるので最後まで気が抜けないレースでした。風は然程強くはありませんでしたが、世界遺産やんばるの壮大な海ならではの激しい潮流でかなり沢山サーフィンできました。それぞれオーシャンパドラーのスキルが試されるハイレベルなレース展開になりました。僕は得意のオーシャンレースなので1セット目も2セット目も始終先頭を走る続けることができましたが、2位には今回このレースに初参加、ギリシャのチャンピオン・タソスがいて、またその後ろにイギリスのチャンピオン、ブルーも追ってきていました。昨年よりさらにハイレベルの選手が集まってくれたので油断はできずとても有意義なレースをすることができました。またプロの女子の部門では、現在、女子のSUP世界チャンピオンのマリカーメンが圧倒的な力の差を披露し、なんと男子の中でも5位でゴールしとても驚かされました。彼女は他の女子選手の中でも体格は小さく、でもそんな不利なフィジカルをものともしないほどのパワーがあって、妹はじめ沢山のジュニア選手たちに大きな夢を与えてくれました。今回は台湾や中国からも参加者が集まりアジアのレベルも上がってきていることを感じました。皆それぞれが切磋琢磨し、互いのモチベーションも上がりました。小学生の妹・夏南風も暑さに苦しみながら完漕しました。たどり着いたゴール地点では仕事や家族のことなど、選手それぞれが自分自身の課題を乗り越えた達成感に溢れて素晴らしい笑顔に満ち溢れていました。来年は更にハイレベルを目指す志が沢山共鳴し合って本当に最高のゴールシーンでした。

2日目は国頭村にある「くいなエコ・スポレク公園」の海で、子供から大人まで家族全員がサップを楽しむファンイベントを開催しました。ここではサップPOLOという3人対3人で行うサップのサッカー(ラクロス?)ゲームで、初心者だれでもすぐに楽しめるゲームで盛り上がりました。またSUP初心者のファンレースも行いました。末っ子のティアレも2年生になって前回のO2Y Winterキッズレースで悔しい思いをした後、練習を頑張って今回は順位を上げて笑顔でゴールしてくれてとても良かったです。サップを始めたばかりで、やる気のあるキッズたちにとって、このようなファンレースはモチベーションになり、成長を実感できる機会になると思います。毎回たくさんの家族が集まり、海の運動会のような和気あいあいとした雰囲気がとてもいい時間でした。

2日間を振り返って、伴走船長さん達、そしてスタッフの協力がなければイベントは成功させることができなかったと思います。本イベントはお父さんとお母さんが中心となってこれまで12年前から一貫して家族仲間のボランティアで運営してきました。僕も小学低学年の頃からレースに出て少しづつ強くなりました。毎回無事故で外洋パドルレースを成功させるため、ひとつひとつ怠けず丁寧に準備を続けてきたお父さんたちの努力は誰にも真似することはできないと思います。なぜなら、ひとつ準備が欠けてしまったら、人の命に関わる事故が起こりかねないからです。もちろん浅い海で陸の近くでやるイベントのほうが安全で運営もし易いかもしれませんが、深い海からしか得られない経験と知識は無限の価値があると思います。より深く難しく広い海に出ることで、海が僕たちを鍛えてくれます。お父さんの口癖は「準備9割、本番1割」。それをできるような人間を目指して僕も頑張らなきゃいけないと思いました。いつも世界選手権で一緒に戦っている海外選手たちが沖縄に来てレース前後も一緒に合宿をしたり、BBQをしたり、家族のように親しくなることができました。彼らのおかげでO2Yは「国際大会」として胸を張れるイベントに少しづつ成長していますし、日本の子供たちが世界を目指す動機付けになっています。僕も次の世代の子たちの目標となれるような選手を目指して、もっと上を目指して進み続けたいと思います。改めてO2Yに協力してくださったすべてのみなさんに感謝したいと思います。すべてのボランティアスタッフの皆さん、準備からあと片付けまでご協力、本当にありがとうございました。今年も無事故で終えることができて何よりも良かったとお父さんも口にしています。最後になってしまいましたが、O2Yストーリーがぎっしり詰まっている短編ドキュメントもYouTubeで公開されましたから、やんばるの雄大な自然の素晴らしい雰囲気を味わっていただけたら幸いです。

僕も小学低学年の頃からレースに出て少しづつ強くなりました。毎回無事故で外洋パドルレースを成功させるため、ひとつひとつ怠けず丁寧に準備を続けてきたお父さんたちの努力は誰にも真似することはできないと思います。なぜなら、ひとつ準備が欠けてしまったら、人の命に関わる事故が起こりかねないからです。もちろん浅い海で陸の近くでやるイベントのほうが安全で運営もし易いかもしれませんが、深い海からしか得られない経験と知識は無限の価値があると思います。より深く難しく広い海に出ることで、海が僕たちを鍛えてくれます。お父さんの口癖は「準備9割、本番1割」。それをできるような人間を目指して僕も頑張らなきゃいけないと思いました。いつも世界選手権で一緒に戦っている海外選手たちが沖縄に来てレース前後も一緒に合宿をしたり、BBQをしたり、家族のように親しくなることができました。彼らがのおかげでO2Yは「国際大会」として胸を張れるイベントに、少しづつ成長していますし沖縄、日本の子供たちにとって世界を目指すきっかけになると信じています。僕も次の世代の子たちの目標となれるような選手を目指して、もっと上を目指して進み続けたいと思いました。改めてO2Yに協力してくださったすべてのみなさんに感謝したいと思います。すべてのボランティアスタッフの皆さん、準備からあと片付けましてご協力、本当にありがとうございました。今年も無事故で終えることができて何よりも良かったとお父さんも口にしています。最後になってしまいましたが、O2Yストーリーがぎっしり詰まっている短編ドキュメントもYouTubeで公開されましたから、やんばるの雄大な自然の素晴らしい雰囲気を味わっていただけたら幸いです。 

大会後、お父さんの誕生ケーキを囲みました。
大会後、お父さんの誕生ケーキを囲みました。

@KAPP/APP
@KAPP/APP

さて、無事にO2Yを終えた翌週は韓国ソウルへ。APPワールドツアーに出場してきました。昨年までは9月の秋の時期に開催されていましたが、今年からはO2Yに来る海外エリート選手たちがより参加し易いようにと、O2Yの翌週に日程変更されることになりました。体力的にはとても大変ですが、せっかくのワールドツアーなのでO2Y選手たちと共に参加することになりました。昨年のAPP韓国では、ディスタンスレースでは優勝できましたがスプリントで準優勝。APPではディスタンスのポイントが優先される規則なので総合優勝となりました。ですから今年の目標はディスタンス、スプリント両方で優勝して総合優勝することでした。
レース開催地はソウルの漢江という川でしたからO2Yの外洋とは真逆のコンディションでした。僕は今まで一度もAPP短距離レースで優勝したことがなかったので、初日のスプリントにはかなり気持ちが高まりました。僕は今年5月に19歳になり、春のユーロツアーでもフィジカルが上がっていることを実感しているので今の自分のスプリント力を試すのがとても楽しみでした。予選から準決と順調に勝ち進み迎えた決勝。O2Yにも来ていたギリシャのニコスは僕と同級生でスプリントはとても速い選手で昨年の世界選手権ジュニア部門でも大活躍した選手です。決勝はそのニコスと一騎打ちになりました。スタートからパワー負けすることなく、第1ブイで先頭に出て3つのブイも素早く通過しそのまま先頭でフィニッシュ。APPで初のスプリントレース優勝を達成することができました。今まで焦らずコーチであるお父さんの言葉を信じて、コツコツ地道に練習してきた成果をようやく今結果に現れるようになってとても嬉しかったです。その翌日ディスタンスでは1.5kmを6周で合計9㎞、途中に30回のブイターンがあるという珍しい設定で、体力だけを競うのではなくテクニックも必要とするレースでした。僕は5周目まではギリシャのチャンピオン、タソスと2人で交代に先頭を引っ張り、ときには相手の引き波に乗って体力を温存しながら駆け引きを進め、最後の1周になったところで一気にペースを上げ、2位のタソスを大きく引き離し、先頭でゴールしました。なるべく体力消耗を抑える戦略に集中し、常に優位にレースを進められました。それができたのもコーチのお父さんがデザインしてくれた新型ボード「刀」が本当に素晴らしい働きをしてくれて2日間とも優勝ということで、文句なしの総合優勝を果たし、しっかり2連覇を達成することができました。O2Yが終わってすぐでも、サポートをしてくれたお父さん、長い道のりを韓国のレース会場までボードを運んでくださった水谷さん、釜山のCREZY SURFERSのみなさん本当にありがとうございました。小学校3年生のころから海外に連れて行ってもらい、世界のトップ選手たちがAPPで戦っているのを見て、憧れ、僕が初めてAPPに出場したのが、史上最年少15歳のとき。あの日から本当にたくさんの貴重な経験をさせていただき、ここまで来ることができました。まだまだ本物のウォーターマンまでの道のりは果てしないですが、応援していただいているみなさんに少しでもたくさんいい報告ができるように、これからも挑戦します。 



先月ユーロツアー帰国後にMAZDA本社へ凱旋報告へ、
先月ユーロツアー帰国後にMAZDA本社へ凱旋報告へ、

そして韓国から帰国してすぐ羽田へ向かい、そこから運転で4時間かけて静岡県下田市へ。そこでは、ISA(国際サーフィン連盟)世界選手権に向けての日本代表選考会が行われました。昨年も同様このレースに出場し二つのレース(テクニカル&ディスタンス)に優勝して日本代表権を獲得しましたが卒業試験と重なってしまいISAの日本代表は辞退し年末ICF世界選手権に集中しました。現地ではものすごい強風が吹き荒れ、波も高くとてもハイレベルなレースでした。1日目は長距離ディスタンスレース、白浜大浜をスタートして岬を大きく迂回し隣の外浦海岸まで、6㎞を2往復するコースで、岬のまわりには暗礁があり潮の流れや波の跳ね返りで、水の動きを一切予測できないようなコンディションで、とてもハイレベルなレースでした。僕は小さい頃からお父さんに連れられ外洋の海で練習を積み重ねてきたので、こういった難しいコンディションで漕ぐことは、誰よりも得意とし、水の動きや波を読む力を人一倍鍛えることができました。翌日テクニカルはビーチからM字型コース。途中でビーチブレイクの波にサーフィンしたり、逆に波を突っ切って沖に出たり高度な技術が問われ一瞬も油断できませんでした。高度だからこそなるべくひとつひとつの動作を丁寧さを心がけました。結果はディスタンス、テクニカル共に大差のリードを広げてゴールすることができました。スプリントは波打ち際から100mほどの距離のところにブイが打たれそれを一回まわってビーチへ帰ってくるというコース、昨年よりさらに強くなったスプリント力をしっかり発揮できるようにレースに挑みましたが、僕が先頭をリードしていても後から波が来て追いつかれてしまう。まさか昨年と同じ展開で準優勝という結果になってしまい残念でした。このように波の運でも勝敗が分かれる面白さもあり、一方で運で勝敗が決まることに賛同できないという人たちも沢山いますから難しいところではありますが。僕は2年連続で同じ負け方だったので悔しさは勿論ですが、結果以上のレース内容には満足していますし次は僕に運がまわってくると信じています。これでO2Yからの3週間を無事に終えることができました。遠征中の生活やレースの様子など、メルマガではどうしても伝えきれない部分をYouTubeを通して楽しんでいただけると思います。実際の海況や普段なかなか聞けない秘話もあるので是非楽しんでいただけたら幸いです。

そして下田から戻ってすぐに、タイへ海外レクチャーに出向きました。タイは決してSUPに恵まれた環境ではありません。しかしどこの地域や国にも味わえないエネルギーを感じました。沢山のやる気溢れる子供たちが目をキラキラさせて質問をしてくれ、僕とお父さんの指導を真剣な眼差しで聞いてくれていました。僕が世界へ突き抜けることと同じくらい、僕が培ってきた技術や志を世界中のジュニア選手へ伝えていけたらとても本望です。そしてこれからも未来のオリンピックへ向けて一緒に夢を追いかけていけたらどんなに幸せなことかと思います。

長文をいつも読んでいただきありがとうございます。今年のO2Y Summerも事故なく無事にイベントを終え、選手として主催側としてとても貴重な経験をさせていただきました。そのあとの韓国から下田も結果以上に良いレース内容で、普段の鍛錬の成果を発揮することができました。春のユーロツアーから夏のアジアツアーと、ひとときも休む暇なくサポートしてくれたお父さん本当にありがとうございました。あっという間に今年の前半戦が終わりました。そしてこれからの後半戦に向けて準備再開します。

今年一番の目標は10月末に行われるICF(国際カヌー連盟)世界選手権、なんとUAEアブダビで開催されます。また不安と期待を抱えて初めての国を訪問します。Youtubeでも話しましたがアウェイに挑み、そして突き抜けてこその世界王者だと思います。後半戦も気合を入れて突き進みます。改めまして、春・夏の世界遠征。多くの皆さまからの応援本当にありがとうございました。

 

keep paddling.®︎


荒木珠里 

p.s. 8月は沖縄マツダ北谷店にて「海外遠征報告会」を開催しますのでSNSチェックお願いします!

初のタイでレクチャーしました
初のタイでレクチャーしました


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